学会の合間を縫って、2015年に開館した大分県立美術館にいきました。もちろん駆け足!
ロゴといい、坂茂の建築といい、最先端のおしゃれ度です。
たとえ10年後にダサく成り下がろうとも、今の私たちが心振るえるデザインで開館しなくちゃだめだよね、美術館たるもの。
本美術館は大分駅から徒歩15分の立地に建設されている都市型美術館です。
この美術館のコンセプトの一つに、「自分の家のリビングと思える」美術館というテーマがあります。
美術館公園化から端を発した美術館のパブリック化の延長にあるコンセプトですが、公園がない都市型美術館のコンセプトとしては言いえて妙です。
コンセプトを体現するようにエントランススペースが広く取られており、そこには無料で閲覧できるパブリックアートが展示されています。
天井から垂れ下がるのは、布製のシャンデリア、須藤玲子 ≪ユーラシアの庭「水分峠の水草」≫です。
エントランスに鎮座するマルセル・ワンダースの≪ユーラシアン・ガーデン・スピリット≫は、触れると揺れる巨大なゴム製の卵型ボールです。
また、大分出身の作家であるミヤマケイのインスタレーションはユーモアと郷土愛に満ち満ちて、地方の芸術祭作品を想起させるサイトスぺシフィック(場所に合わせた)な作品になっています。
大分の切子灯篭を模した作品は、お盆に故人が迷わずに帰ってこれるよう飾るという切子灯篭の性格を反映して、≪おかえりなさい。≫という題名がついています。
彼女の作品は他にも複数あり、≪水府 覆水難収・フクスイオサメガタシ≫は目を凝らさないと見えないものがあるプールの作品です。
有料の展示室の前にも無料の天庭という展示スペースがあって、陶器、テラコッタ、ガラスという3つの違った作品が展示されており、これは3人の工芸家の作品を合わせたものになっています。
もちろん有料のコレクション展や特別展も開催されています。
コレクション展は郷土の作家を中心ですので、普通の
しかしそのような地方美術館の縛りとは別に、大分県立美術館は上手に無料のスペースを活かし、ミニ芸術祭のような雰囲気を出しているなと感じました。
そのような意図に連動するのか、ミュージアムショップもオリジナルグッズが充実しており、地元の工芸とアーティストやデザイナーが上手にコラボレーションした商品が多数!
私は、自分用に豊後型染と刺し子という伝統技法を活用したOPAMオリジナルコースターと、大分県下で一番古い和菓子舗但馬屋老舗と美術家ミヤケマイとのコラボレーションした落雁を買いました。
てか、他にもほしいものがいっぱい!
大分県立美術館ならではの作品やグッズは観光客向けの仕掛けとして機能していると思います。
一方、県民がリビングのようにくつろげる仕掛けとしては、オープンでところどころに作品がこっそり展示されている情報コーナーや
ガラス張りのアトリエなどがあります。
美術館は箱ものといいますが、やはり素敵な箱がないと、足を運ばないと思います。
展示力はまだまだ未知数ですが、今のところ建物の力だけでも相当ワクワクできる大分県立美術館でした。